2016年4月12日

歯の土台(コア)の選び方

神経を取る場合は歯の土台「支台築造」が必要になります。

前述の通り歯の状態にもよりますが、神経を抜かない治療「ドッグスベスト」の選択肢もあります。患者さまには神経を抜く、又は抜かない、の選択をしていただいた後、神経を抜く方には歯の土台(コア)の種類を選んで頂きます。

神経を抜くことによって変化する歯の性質
●神経を取ると歯が弱くなる?
コアの選び方木で例えると、神経や血管がある場合は、栄養があり瑞々しく生きていますが、神経や血管を失うと弾力性を失い枯れ木のようになって脆くなります。歯が変色したり、折れやすかったり、化膿しやすくなったりします。

※神経がなくなることによって、むし歯になった時に気づかないで悪化させてしまうことがあります。歯がなくなるまでの流れをできるだけ遅くすることで、歯の寿命を延ばすことができます。

大きなむし歯や歯の破折、再治療などにより、歯に十分な量の歯質が残っていない場合には、人工の土台(コア)で歯を補強する必要があります。歯質があまり残っていない歯に被せ物(差し歯)をつけても、すぐに取れたり、残っている歯が割れたりしてしまうからです。
コアの選び方

1.歯の土台(コア)は目立たない部分ですが、とても重要な治療です。どのような素材の土台(コア)を使うかによって、その歯に将来起きるかもしれないトラブルの発生率や歯の寿命が変わります。


2.歯の土台(コア)は、家に例えるならば基礎や柱に当たる部分、家は基礎や柱がしっかりしていなければどんなに見栄えのよい家でも長持ちしません。建築においては、万一の大地震にも耐えられるこれまで基礎や柱を硬く丈夫にすることで耐震性を高めてきましたが、最近では力を吸収分散する免震構造により地震から家を守るという新しい方法が取り入れられています。


歯の土台(コア)についても同じことがいえます。
コアの選び方
被せ物(差し歯)がきれいで長持ちするものでも、その下の土台(コア)や歯の根に問題が起きれば、抜歯や歯全体の再治療が必要になります。

コアの再治療がないように最初からコアは白い歯に希望の可能性がある人は特にファイバーコアを最初から選ぶことも視野に入れてください。

●コアの特性を知っていただいてからの選択を...
ボーナス払いもお選びいただけるクレジットカード、超低金利の医療ローン 銀行・信販会社の取り扱いもあります。

歯根破折

歯根破折歯には、食事の時や歯ぎしり・食いしばりの時など毎日いろいろな方向から強い力がかかっています。一般的に使用されている金属の土台(メタルコア)は丈夫ですが硬すぎるため、十分な歯質が残っていない歯では、強い力がかかった時に歯が割れてしまうことがあります(歯根破折)。
このような場合、歯の保存が難しい割れ方(縦破折)をすることが多いため、抜歯になる可能性が高くなります。歯質の少ない歯には、硬さやしなり具合が歯と似ているファイバーコアを使用することで、歯が受け止める力を分散して破折などのリスクを減らすことができます。

フェルール、フェルール エフェクト:帯環効果

象牙質をクラウンが取り囲んで歯が割れるのを抑えるような効果をフェルール効果(ferrule effect)といいます。
フェルール効果
生活歯、効果高い
フェルール効果
効果少なめ

●フェルールとは?
失活歯にクラウンを被せる際に、そのクラウンのマージンより歯冠側に残る健康な象牙質のことです。このフェルールによってもたらされる効果のことを「フェルール エフェクト:帯環効果」と言い、これには歯根破折を防ぐ効果があります。

フェルール効果フェルール効果がない
このフェルールが有るか無いかでその歯の安定性が大きく違ってきます。

十分なフェルール エフェクトを得るためには、高さ2mm、幅1mm、歯の全周の75%以上のフェルールが必要だと考えられています。(最新の材料を使うことによっては高さが1.5~1.0mmでも問題ないと言われていて、高さは不揃いよりも均一な方がいいと言われています。)メタルコアなどによる歯根破折を防ぐためには、このフェルールは特に重要な要素となります。

前歯
前歯(画像クリックで拡大)
臼歯
臼歯(画像クリックで拡大)

支台築造

支台築造

むし歯で神経を抜いたり、何かの理由で歯が欠損し、自分の歯にクラウン(被せ物・差し歯)を被せられない場合には、人工の土台(コア)で欠損した部分を補う必要があります。
この歯の土台(コア)を作る治療のことを「支台築造」と言います。

歯の土台(コア)の種類

セラミッククラウンを被せた状態:光を後ろからあてた場合
ファイバーコア
コアの種類
レジンコア
コアの種類
メタルコア
コアの種類

セラミッククラウンを被せた状態:通常の光の中で見た場合
歯の土台(コア)の種類

●保険の土台(コア)
コアの種類メタルコア(銀の土台)
破折の確率が高い
コアの種類レジンコア(プラスチックの土台)
破折の確率が高い

●保険外の土台(コア)
コアの種類ファイバーコア(ファイバーポスト&コア)
からだに優しい・白い歯をサポート
場合によっては不可

※上記の他、お口の中でレジン(プラスチック)を盛って、そのまま土台を作る場合もあります。

<歯の土台(コア)はとっても重要!>
どんなに質の良いクラウンをかぶせたとしても、土台(コア)によってクラウンは影響を受けます。コアがしっかりしていれば、後からクラウンを変えることは可能です。
コアは一度装着すると外すのが非常に困難で、無理に外そうとすると歯が割れて抜歯になってしまうこともあります。やり直しをするとそのたびに歯が削られてしまうので、治療回数はできるだけ減らすのが得策です。

材料的な理由よりも治療の丁寧さ、テクニック、残っている歯の状態といったもののほうが、予後に大きく影響します。

保険の土台(コア)と保険外の土台(コア)の違いについて
【治療費】《保険》約530~760円
         ※保険適用3割負担の場合、クラウン(被せ物)の料金は別途かかります(保険外)。
     《保険外》(ファイバーコアの場合)1.5万円(税別)

●保険のコアと保険外の内容
保険ではほとんどの場合、銀合金のメタルコアが使われています。

●保険と保険外で違ってくる可能性が高いもの
・型取りの精度
・コアの精度
・コアの使用材料
・治療時の使用器材
・治療時間・説明時間
・歯医者さんが勉強・技術習得にかけている時間・費用

【保険のコア】
保険のコア(土台)であるメタルコアには通常、銀合金が使われていますが、
硬すぎるため、金属の「くさび効果」により、歯の根っこが割れてしまうということがある(割れると高確率で抜歯となる)太く長いコアを入れていた場合には、根の病気が再発した時の再治療が困難な場合がある(コアの除去時に歯が割れて、抜歯になってしまうこともあります)前歯にオールセラミックを被せる際に、コアの金属が透けて見えるので、色調の再現が困難金属アレルギーの問題といったデメリットがあります。

【保険外のコア】
ゴールドコアはアレルギーのリスクを減らしたり、ファイバーコアは歯が折れにくく、審美的に優れていてアレルギーの不安もなく、再治療も比較的容易であるなど、それぞれ利点があります。

どの土台(コア)を選べばいいのか?
土台(コア)には様々な種類があり、それぞれ材料的な利点・欠点はあります。良い土台(コア)が出来るかどうかは土台の材質だけではなく、歯科医の知識・テクニックや、患者さまの歯の状態(特にフェルール)などにも大きな影響を受けます。

土台で一番問題になってくるのは、土台を入れた歯の再治療が必要になった時、この時に歯が割れてしまうと高確率で抜歯になってしまいます。また、前歯に金属の土台を入れている場合には、将来セラミックなどの見た目の良い被せ物(クラウン)にしようと思った時に、困ってしまうこともあります。

その上、土台を除去する際には少なからず自分の歯が削られるので歯が薄くなり、割れやすくなってしまうという問題もあるので、出来る限り再治療(リトリートメント)可能な土台のほうが安心ではないかと思います。

そうなると、レジンコアファイバーコアのほうが金属よりも再治療はしやすく見た目も良いのでおすすめなのですが、これらのコアはメタルコアに比べると歯科医のテクニックが必要になります

「メタルコア」 銀72% スズ9.0% インジウム6.0%

コアの種類
保険で欠損が大きい歯の治療する場合は、ほとんどの場合この「メタルコア」が使用されます。保険のメタルコア(歯の土台の場合)には、一般的に銀合金を使用しますが、精密な治療を行うには限界があります。特に審美面では長い間使用し続けると、銀イオンが溶け出して歯ぐきが黒ずんでしまう事があるため、特に前歯など笑ったときに見える部分にはお勧めしません。

メタルコアの費用(保険適用3割負担) 約630~760円
※クラウン(被せ物)の料金は別途かかります

<メタルコアのメリット>
・ほとんどの症例で使用可能
・最も一般的なので、多くの実績がある
・保険適応なので安価
・比較的どんなお口の状態でも使用が可能

<メタルコアのデメリット>
・硬すぎるため、金属のくさび効果により歯が割れてしまうことがある(歯が割れてしまった場合には、高確率で抜歯)
・太く長いコアを入れていた場合には、再治療が困難(コアの除去時に歯が割れて、抜歯になってしまうことも)
・オールセラミックジャケット冠をかぶせる場合には、中の金属の色が透けてしまうことがあるので向かない場合がある
・歯茎から金属が透けて見えてしまうことがある
・金属アレルギーの原因となることがある
・弾力性に欠けるため歯や歯の周辺組織に負担をかけてしまい、歯や歯の根が割れてしまう場合がある
・歯の土台が太く長い場合だと、歯の根の病気などが再発した際まれに再治療が困難になる場合がある

金属ポスト(土台)の問題点 歯根破折
コアの種類極端に硬い金属ポストを装着すると応力が集中したときに歯根破折の危険性が高まります。

コアの種類イメージとしてはプラスチックの筒に金属が入ってる状態で、ある程度の深さで応力が集中するため、割れてしまいます。 同じく、金属は歯よりも強すぎるために、同じようなことが(折れる、割れる)起こりやすいです。

メタルコアの金属成分が溶け出して歯茎や歯茎の境目に入り込んでしまうことがあります。

「レジンコア」レジン(プラスチック)で作られた白色の土台(コア)

コアの種類
レジンコアとは、レジン(プラスチック)で作られたコアのこと。レジンコアはメタルコアと同じく保険適用のコアです。審美的には白いので良いのですが、強度・接着に問題があるため、奥歯で強い力がかかる部位や、深いむし歯がある部位には使用できない場合もあります。
セラミッククラウンを被せた際に見た目が良くなるというメリットがあるため、前歯部で噛み合わせの力があまりかからないようなケースでは積極的に使用されることもあります。

また、比較的歯の欠損が少ない場合や、レジンに精通した歯科医の場合には、お口の中でレジンを盛って、そのまま土台を作る場合もあります。

レジンコアの費用(保険適用3割負担) 約430~470円
※クラウン(被せ物)の料金は別途かかります

<レジンコアのメリット>
・メタルコア(銀合金)と比較した場合、柔軟性があるため歯が割れる可能性が低くなる
・金属の溶け出しによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどの心配がない
・色が歯と似ているので、オールセラミックジャケット冠をかぶせて中の色が透けた場合でも見た目が悪くならない
・保険適応の場合は安価
・長期間使用しても歯ぐきが黒ずむ心配がない
・前歯の土台には比較的適しているといえる

<レジンコアのデメリット>
・歯の状態によっては、使用できないことがある
・ピンを併用している場合には、再治療が必要になった際、除去が困難な場合がある(除去時に歯が割れてしまった場合には、高確率で抜歯となる)
・強度・接着的に問題があるので、かなりケースを吟味して使用する必要がある
・強度と接着力が弱いため、お口の状態が悪い場合や奥歯などでは使用できない場合がある
・歯の土台が太く長い場合だと、歯の根の病気などが再発した際まれに再治療が困難になる場合がある
・コアの成功率が、術者のテクニックに大きく左右される

※歯の土台が太く長い場合、一度装着すると外すのが非常に困難になります。無理に外そうとすると、歯が割れてしまい、歯を抜かなければいけない場合もあるので、後に他の被せを検討する可能性が高い人には注意を促した方がいいです。

レジン(プラスチック)ポストの問題点
コアの種類歯よりも弱いプラスティックだと、逆に土台自体が割れてしまいます。
元々は柔らかい歯髄と象牙質しか存在していなかったため、ポストの強度が歯質と同じ強度でなければ歯が折れてしまったり、ポストが折れてしまったりします。

ファイバーコアとは?

コアの種類
ファイバーコアは、コアの中にFRC(ガラス繊維強化樹脂)というファイバーの支柱)ポスト)・芯を入れたもので、レジンコアの強度を改善する目的で開発された土台(コア)です。歯の土台専用のプラスティック(レジン)とガラス繊維強化樹脂を調合して製作されているため、特有の強度と柔軟性を持ち、歯茎への負担が抑えられます。歯に似たしなやかさがあるため、根を壊しにくく、特に、歯質の大部分を失った歯に最適な土台(歯にやさしい土台)です。

ファイバーコアの費用 15,000円(税別)

●ファイバーコアの治療期間 通院回数+1回(土台の型取りの作業が増えるため)

<ファイバーコアのメリット>
・しなる性質があるので、歯が割れる可能性が低くなる
・光の透過性があり歯に似た白さのため、審美的に有利。自然で透明感のある美しい歯を再現できる(金属による暗い影がないため、オールセラミッククラウンに最適)
・再治療が必要になった際の除去が比較的容易
・金属アレルギーなどの心配がない
・天然の歯に近い透明感や色が再現できるため、白いかぶせ物を入れた際によさを最大限活かしてくれる(オールセラミックのかぶせ物を入れる際はファイバーコアを土台に勧めることが多い)
・金属を使用しないので、時間が経っても金属の溶け出しによる歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーなどの心配がない(メタルフリー)
・硬さや弾性が歯とほぼ同じため、歯が割れる(歯根破折)のリスクが低い
・強度があり耐久性がある
・歯を削る量が少ない(口腔内で製作する直接法の場合)

<ファイバーコアのデメリット>
・歯の状態によっては、使用できないことがある
・保険外の治療のため、値段が高い
 (保険外のコアを使用した場合、保険の銀歯を被せても保険が使えなくなる)
・保険外のコアを使用した場合、保険の銀歯を被せても保険が使えなくなる

歯と土台の力学的関係

歯と土台の力学的関係

グラフを見ての通り、歯質と土台の力学的関係の違いが大きすぎることが問題です。 グラフの2番目にあるのがファイバーコア、グラスファイバーの土台は歯質と力学的強度が近いため他の土台に比べ歯へのダメージは小さくて済みます。また、歯質とグラスファイバーコアは特別なセメントによって接着し、一体化するため、細菌感染も起こりづらい利点があります。

前のページに戻る

まずは、お悩みをご相談ください